車の中は高温になるということを常に頭の中に
2018年の夏も、車内に放置された幼い子供たちが熱中症とみられる症状が原因で亡くなるという報道がいくつも見られました。「短時間だから大丈夫だろう」「気持ちよさそうに寝ているから」「窓が少し開いているから大丈夫」などという大人の勝手な判断で、幼い命が奪われてしまいました。
こうした事故は夏に起きやすいため、夏以外は忘れてしまいがちになりますが春や秋の気温の高い日には十分に気を付けなければならない案件となっています。
たとえば、気温が20度くらいの日であっても、直射日光のもとでは車内の温度は40度を超えてしまいます。取り返しのつかない事故を招く前に、車内の環境についてしっかりと知識を深めておきましょう。
夏以外にも気をつけるべき車内の温度変化
JAFのテストによりますと、車内の温度が高くなり熱中症の危険が増すのが春から秋までとなっています。季節の違いによる車内の温度変化を見ていきましょう。
◎4月下旬
外気温が23度と快適な春の日。ですが、ダッシュボードは午前中のうちから50度を超える高温となり、最高70度まで上昇します。フロントガラスも50度以上となり、車内の温度は40~50度に達します。
◎8月下旬
外気温が35度まで上昇した晴れの日。サンシェードなどの日よけ対策をしないまま駐車していると車内の温度は最高57度・サンシェードをしていても50度・窓を開けていても45度まで上昇することがわかりました。
このような車内温度であれば、大人でも5分と座っていることができません。
◎10月中旬
春と同じくらいの外気温22度の雲が多い日。にもかかわらず、ダッシュボードは午前中から45度を超え、最高65度以上にまで上がります。車内の温度はやはり40~50度近くに達します。
暑くなった車内に入るのは危険!温度を下げよう
外気温が23度くらいの日でも、車内のあらゆる場所が高温になることがわかりました。小さなお子さんがダッシュボードやフロントガラスに触れたり、熱くなったシートに座ってしまうだけでもやけどをしてしまう危険性が高くなります。
そのため、乗車前に車内の温度をしっかりと下げてから乗ることが大切になります。駐車中に熱くなってしまった車内の温度を下げる方法はあるのでしょうか。
◎ドアの開閉
運転席のドアを開け、対角線上にある助手席側の後ろのドアを4~5回程度開け閉めします。ドアの開閉により、車内の空気が外気と入れ替わり30秒ほどで10度ほど車内の温度を下げることができます。
◎冷却スプレー
駐車中の車は、シートも熱せられて熱くなっています。車を日陰に移動したいと思っても、落ち着いて座れなければ意味がありませんね。そんな時に役立つのが冷却スプレーです。
熱くなったシートに10秒ほどスプレーすると、3分後に車内も5度程度気温が下がります。
◎濡れタオル
車内の空気ではなく温まったハンドルやダッシュボードの温度を下げることができるのが、濡れタオルです。車内で熱を持っているものを冷やしていきましょう。
◎エアコン
車の中を効率よく冷やすには、エアコンの使用が効果的です。ドアの開閉や冷却スプレーの使用で、車内に入れるようになったらエアコンをオンにしましょう。
エアコンを効率よく効かせるにはちょっとしたコツがあります。
1)窓を全て開けます。
2)エアコンを自動運転(オートモード)・外気導入の設定にし、設定温度を低く設定します。
3)車内にこもった熱気が出たら窓を閉めます。
4)エアコンの設定を内気循環に変えます。
上記の手順を守ってエアコンを使うことで、真夏の高温になった車内の温度は約5分で28度という快適な温度まで下げることができます。
車にも断熱できる一工夫をしてみよう
真夏の直射日光から車内の温度を上げないように守るためにも、サンシェードや窓に断熱フィルムを貼るという工夫をしてみましょう。
◎サンシェード
光を反射しやすい白やシルバーの色をしたもので、厚みのあるものを使うと、日光を遮断しやすいとされています。
◎断熱フィルム
日光が入りやすいフロントガラスだけでなく、運転席・助手席の窓にも透明の断熱フィルムを貼ります。
※色つきのものは違反になる可能性が高くなるのでおすすめできません。