ニュースでよく耳にする「リコール」って何?
テレビのニュースなどで時々「リコール」という言葉が聞かれます。特に車に関することが多いように思いませんか?
自動車には「リコール制度」というのが設けられています。この制度は、車の設計上の問題や製造上の問題などがわかった時、そのままでは安全に走行することができないと判断された時に有効になります。
自動車に大きな問題があることが判明したらメーカーが国土交通省に届け出を行い、車の回収・修理を行うことになります。
メーカーは1台の車を作り出す際には、開発に時間をかけて製造も丁寧に行い、車のテスト走行も行っています。それでも何万・何十万台という車を製造している中で、不具合が出る車が出てしまうことがあるのです。
リコールが必要な大きな問題が発生した場合には、必ず対象となった車種や製造年月などが公表されます。ニュースなどを見ていなくても国土交通省が開示している「自動車のリコール・不具合情報」を見ることで確認をすることができます。
リコールにはどれくらいの種類があるの?
車のリコールについては、ドアミラーのネジが緩む可能性があるといった軽微なものから、エンジンの停止・タイヤが外れる可能性があるといった重大なものまでいろいろな種類があります。
また、メーカーや車種に関係なく、すべての車がリコールの対象になる可能性を持っています。特定のメーカーだけがリコールが少ないということもありませんので、リコールの情報は常に気にかけておくのがいいでしょう。
自分の乗っている車がリコールになったどうする?
もし自分が乗っている車がリコールの対象になってしまったら、どうなるのでしょうか。
まず、自分の車がリコールの対象になったら、車を購入した販売店から連絡が入ります。新車だけでなく中古車も対象になり、基本的には無償で問題のある部分・パーツの交換・修理を受けることになります。問題が起きてからでは遅いので、連絡を受けたらすぐに対応してもらうようにしましょう。
リコールによる修理はディーラーで行われます。一度にたくさんの顧客から問い合わせが入っていることも考えられるので、事前に予約を入れて来店をするようにしておきましょう。場合によっては交換する部品が取り寄せになることもあります。リコールの連絡を受けたら、まずはディーラーや販売店に電話連絡をしてみるのがいいでしょう。
年間どれくらいの車がリコールになっている?
毎年どれくらいの車がリコールになっているかについては、国土交通省のホームページの公開資料を見ることで知ることができます。
平成30年度の場合、リコールが届け出されたのは国産車で270件・対象車は7,244,331台、輸入車で178件・973,029台となっています。毎年、多少の増減はありますが、平成30年度に関しては過去5年間の発生件数の平均より多めの数値となっています。
メーカー別で件数を比較すると、販売している車種の数が多いほどリコールの数も多くなるという傾向があります。また、リコールの対象台数については人気のある車にリコールが出ると、対象台数が増えます。
特定のメーカー・車種でリコール件数が目立って多い・少ないということはありませんので、新車購入前にリコールを心配する必要はないでしょう。
メーカーによるリコール隠しは信頼をなくす
問題が発生した車にそのまま乗り続けていると大きな事故になる可能性があるために、メーカーは問題がわかった時点で国土交通省に報告、ユーザーに周知しなければなりません。
ですが、リコールにはメーカーにとって多大な費用と労力、またメーカーの信用度が下がるというマイナス面もあります。
近年では2000年に三菱自動車が約30年間にわたって、10車種以上・約60万台が対象となる不具合の情報を隠していたことが発覚し、大きな問題になりました。その後、2004年にトラック・バスでもリコールを隠していたことがわかり、メーカーの信頼度が失墜しています。また、これらのリコール隠しが原因となる死亡事故が2件起きていることもわかりました。
自動車メーカーは問題がわかった時点で、すぐにリコールを届けることが、よりユーザーの信頼を高めることにつながります。