ハイビームvsロービーム見える距離はどれくらい違う?
車のヘッドライトにはハイビームとロービームの2種類があります。単純にライトの届く距離が違う、という認識の方が多いと思いますが、正式名称やその照射距離を知ると、使い分けが明確に理解できるようになります。
◎ハイビームとは?
ハイビームの正式名称は「走行用前照灯」といいます。車が夜間に走行する際に使うのがハイビームです。性能の基準としては、「夜間に前方100mの位置にある障害物が確認できるものであること」となっています。
◎ロービームとは?
ロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」といいます。ハイビームで走行中に対向車が来た場合に、ロービームに切り替えてすれ違いを行うのが正しい使い方です。性能の基準としては「夜間に前方40mの位置にある障害物が確認できるものであること」となっています。
上記の通り、夜間のドライブ中に少しでも早く障害物や歩行者などに気づくためには、ハイビームが必要不可欠となっています。ただし、交通量や街灯の多い場所では、ハイビームにしなくても前方までしっかりと見えることがあります。そのような場合にはロービームでの走行も問題ありません。
ハイビームを使用するメリット・デメリット
先ほども紹介したとおり、ハイビームの照射距離はロービームの2倍以上となっています。車が障害物の前で停止するためには、速度も関係しますが少しでも早く障害物を発見することがポイントとなってきます。遠くのものを早期に発見できるのがハイビームのメリットです。
とあるモニターテストによると、時速80㎞でハイビーム走行している車は障害物を見つけてからブレーキを踏んでも、障害物の約80m手前で停止することができます。同じ時速80㎞でもロービーム走行の場合には、停止位置が障害物の手前約5.5mという結果が出ています。これが、雨でぬれた路面である場合などは、事故になるかならないかの大きな差につながると考えられます。
一方、ハイビームの使用にもデメリットはあります。それは、対向車がまぶしさを感じて前方が見えにくくなるという点です。車の運転をしたことがある方なら一度は経験があるのではないでしょうか。このことを踏まえて、対向車を見つけた際にはロービームへの切り替えをすることをおすすめします。
ロービームの上手かつ意外な使い方を知ろう
ロービームの正式名称が「すれ違い用前照灯」と知ると、ロービームは対向車とすれ違う時にしか使わないの?と思われる方もいるかもしれません。ですが、対向車の多い道や街灯の多い明るい道を走行する際にはロービームの使用が役立ちます。
さらに、悪天候の場合にも役立たせることができます。天候が雨の日などは日中でもロービームを使用することで、対向車や歩行者などに車の存在を知らせやすくなります。また、霧が発生している中での走行時もハイビームでは視界が遮られてしまいますから、ロービームを使用するのがおすすめです。スピードを出さないように気をつけながら、センターラインや前を走る車のテールランプを見て、走行するようにしましょう。
また、死亡事故を発生時間帯別に分けると、特に16時~20時の発生が多くなっていることが分かっています。日の入り30分前ほどからロービームを使って、前方がしっかりと確認できるようにしましょう。
ハイビーム・ロービームの切り替えが自動になる?!
ハイビーム・ロービームの主導の切り替えが面倒に感じ、ついロービームのみを使っているドライバーもいるようです。そのような不便を解消するためにも、現在は「次世代型ヘッドライト」の開発が進んでいます。
これは、周りの状況をセンサーやカメラを駆使して判断し、車が自動でハイビームとロービームを切り替えたりする手間がなくなるというものです。さらにハイビームのまま対向車とのすれ違っても、相手側にまぶしさを感じさせないようにも制御できるようになると言われています。
すでに一部の車には次世代型ヘッドライトが搭載されていますが、徐々に一般的な装備になっていくことが期待されます。