最近よく見かける残価設定ローンってどんなもの?
新車を買おうとディーラーに出向き、希望の車の大きさや予算を告げると「残価設定ローンなら支払額を抑えながら希望の車に乗れますよ」とすすめられることがあります。通常のローンを組んで新車を買うよりも、月々の支払額が安く、数年後には別の車に乗り換えもできる、ととても魅力的な言葉が並びますが、どのような仕組みになっているのでしょうか。
残価設定ローンは「残設定型クレジット(残クレ)」や「残価設定型プラン」などとも呼ばれます。
新車を購入しようとする際に3年や5年といった期間を設け、その車の3年後・5年後の価値を「残価」として設定します。その残価をローンの最終回に支払うことを前提に据え置き、ローンの最終回までに「全体の価格-残価」分の金額を3年や5年で支払っていくシステムです。
たとえば200万円の車を購入するとして、3年後の残価が50万円に設定されたとします。ローンの支払回数は3年36回としましょう。この場合は、36回目の支払いが50万円となり、1~35回目の支払いが150万円を分割した金額となります。
月々の支払額は安くなるものの、3年間での総支払額は車全体の支払額になるということがポイントとなります。その代わり、ローン最終回の支払い時に車を今後どのように取り扱うかについて、3つの選択肢が与えられます。
1)今の車を下取りに出し、新車に乗り換える
2)車を返却する
3)車を買い取って乗りづつける
1または2を選択した場合には、契約時に決められた残価で車の乗換えや返却をすることができます。(規定をオーバーしている場合は差額を請求されることがあります)
3を選択した場合には、車の残価(例の場合は50万円)を一括で払うか、再度ローンを組んで払うことで自分の車として乗り続けることができるようになります。
残価設定ローンの仕組みについて、わかっていただけたでしょうか。では、続けて残価設定ローンのメリット・デメリットについて紹介していきます。
残価設定ローンのメリットが知りたい
残価設定ローンのメリットについては、ディーラーでも大々的に宣伝しておりご存知の方も多いかもしれませんが、以下のようなものが挙げられます。
・月々の支払額が低額になる
・残価(契約終了時の下取り額)が保証されている
・一般的な自動車ローンより金利が低く設定されていることが多い
・契約年数によっては車検が不要
・こまめに新車に乗り換えることができる
通常の自動車ローンは、車全体の価格を3~5年ですべて支払う必要がありますが、残価設定ローンは「全体の価格-残価」を3~5年で支払うため、月々の支払額が安くなるというメリットがあります。
契約終了時に車を乗り換えるあるいは手放す場合にはあらかじめ設定された残価で買い取ってもらえるため、景気や市場に左右されることもなく安心感があります。
3年後に車を乗り換えるという契約をした方の場合には、3年後の車検を受ける必要がありませんので、車検にかかる費用は支払う必要がありません。
残価設定ローンのデメリットが知りたい
では、ディーラーではあまり教えてくれない残価設定ローンのデメリットを見ていきましょう。
・所有権がディーラーになる
・走行距離や傷・汚れなど制限がある
所有権がディーラーになるという点では、一般的な車のローンと変わる点はありません。気を付けたいのは2つめの「制限がある」とう点です。どのような制限があるのか、詳しく紹介します。
・走行距離
メーカーにもよりますが、だいたい1か月あたりの走行距離が1000㎞以内であることが前提となっています。
・傷、汚れなど
車を使用中に傷や汚れを付けてしまった場合には、契約終了時の査定で減点されることがあります。
・カスタマイズ・改造など
違法な改造はもちろん、趣味によるカスタマイズを行った場合には査定に影響が出ます。
・点検・整備
あらかじめ決められた点検や整備をきちんと受けていたかどうかを確認されます。
上記の点で、走行距離オーバーや大きな傷・汚れ、カスタマイズなどがあった場合には契約時の残価が保障されず、差額を請求されてしまうことがあります。
残価設定ローンで乗っている車に関しては「車を借りている」と考えて、丁寧に乗ることで残価をキープしやすくなります。