直噴エンジン車は燃費が良い?環境への問題は?

車の燃費・乗り方

直噴エンジンは増加、それなのに軽自動車はゼロという現実

テレビCMなどで新車のコマーシャルを見ると、「直噴エンジンを搭載」といううたい文句が使われていることが多くあります。ここ10年ほどで、ターボエンジンのほぼ全てが直噴化されたとも言われています。

そうなると、直噴エンジンはとても素晴らしいもののように思えます。ですが、軽自動車には直噴エンジンが搭載されているものがないことをご存知でしょうか。

直噴エンジンとはどのようなものなのか、直噴エンジンにはどのようなメリット・デメリットがあるのかについてみていきましょう。

直噴エンジンとは?ポート噴射との違いは?

昔から作られてきたエンジンは、ガソリンと空気を混ぜた混合気を作り燃焼室内に送り込むシステムを利用しています。エンジン内のピストンが下がっている時に混合気を燃焼室に送り込んで爆発させることでエンジンを動かしていました。このシステムを「ポート噴射」と呼びます。

このポート噴射では、エンジン内の温度が上がってしまうためエンジン内にガソリンを噴射して冷却する必要が出てきてしまうため、どうしてもガソリンの使用量が増えてしまうという特徴があります。

一方、近年台頭してきた直噴エンジンは、ガソリンを直接シリンダーの中に噴射することでエンジン内の温度が上がらないようになっています。そのため、ガソリンは燃焼のためだけに使われ、冷却用に余分なガソリンが使われることがなくなりました。

直噴エンジンは燃費がいいと言われるのは、この点が大きく関係しています。

直噴エンジンのメリット・デメリット

燃費がいい車(=直噴エンジン搭載車)というのは車の所有者にとって大きなメリットとなるため人気が高まり、直噴エンジン搭載車の普及率が高まってきました。ですが、直噴エンジンにはメリットだけでなくデメリットもあります。

直噴エンジンのメリット・デメリットをみていきましょう。

◎メリット

・出力が向上する

直噴エンジンは、燃焼室に入れる空気を最適な圧力まで圧縮させることができるため、少量のガソリンで効率よくエンジンを動かすことができます。ポート噴射と比べて、燃費が良くなるのはもちろん、エンジンの出力も良くなっています。

・ダウンサイジング

出力が向上することで、従来より小さなエンジンを搭載した車でも従来の車と同じくらいのパワーが出るようになりました。そのため、エンジンの小型化を進められるようになりました。

エンジンのスペースが小さくなることで、車のエンジンルーム自体に余裕ができたり車全体の小型化にもつながっていきます。

・排気ガスが少なくなる

空気とガソリンが交じり合うのが燃焼室の中になるため、使用するガソリンの量がポート噴射と比べて減りました。使用するガソリンの量が減ることで、車から出る排気ガスの量も減ります。

◎デメリット

・排気ガスが悪くなる

直噴エンジンは、車から出る排気ガスの量は減るものの、排気ガスの中に含まれる粒子状物質(PM2.5)の量はポート噴射エンジンよりも5~10倍の量になることがわかっています。

・ハイオクガソリンが要る

直噴エンジンを搭載した車は、燃料としてハイオクガソリンを使用することが指定されています。そのため、車の維持費が高くついてしまいます。

・コストが高くなる

直噴エンジンには、ポート噴射エンジンに比べると専用のパーツが多く必要になります。そのため、製造コストが高くなってしまいます。エンジン内部が高温・高圧になることから、それに耐えうる素材も必要となるため、コストが高くなりがちです。

軽自動車に直噴エンジンが搭載されていないというのは、コスト面での問題が大きく関係しているようです。

直噴ガソリン車の環境への対策が課題

先ほども紹介しましたが、直噴エンジン車は排気ガスが減っているにもかかわらず、環境に悪影響を与えるPM2.5の排出量が多いという問題点があります。

今、世界規模で大気汚染問題に取り組んでいる中、この問題は直噴ガソリン車にも影響を与えています。今後は、優れた燃費性能を保ったままいかにPM2.5の排出量を減らしていけるのかが大きな課題となっていきます。