任意保険の疑問 我が家の車庫を壊したら保険金はもらえる?

自動車保険の選び方

車をぶつけたら保険で支払える?条件はあるの?

街中を歩いていると、車の後部が少しへこんでいたりサイドをこすった傷が残っているまま走っている車を見かけることがあります。「あぁ、やっちゃったんだな」と思われる方が多いと思いますが・・・あれはなぜ修理せずにそのままにしているんだろう?とも思いませんか。

自動車保険に加入していれば「車両保険」を利用して車の修理代を支払ってもらうことができます。

ですが、実は自動車保険から出る修理費には少しカラクリがあります。

車両保険には通常「免責金額」というものが設定されています。この免責金額とは、「○万円までの費用については、補償をしません」という取り決めの「○万円」という部分です。

たとえば、10万円の免責金額が設定されている場合、車をへこませたり傷をつけた部分の修理費用が10万円に満たない時には、保険会社から補償を受けることができないということになります。

免責金額内の車の修理に関しては、車の所有者が自分で費用を負担する必要があるため、多少の傷であれば修理せずにそのまま車に乗り続ける方がいるのです。

また、2013年に導入された「事故有等級制度」がありますので、事故によって車両保険を使ってしまうと保険の等級が3つ下がってしまう上に、その後3年間の保険料が高くなってしまいます。修理費と保険料を比べると、3年分の保険料が高くなる方がツライと感じる方も多いでしょう。

そのような理由もあって、小さな傷・事故では車を修理しない方も増えているようです。

自分で我が家の設備を壊した!保険料はもらえるの?

傷や事故を起こした車については、車両保険の適用を受ければ修理代の補償を受けることができます。では、自分で自分の家の門柱や車庫などを壊してしまった場合にはどうなるのでしょうか。

もし、事故を起こした場所がコインパーキングや標識・ガードレールなどだった場合には、「対物保険」でその修理費用を賄うことができます。しかしながら、我が家の門柱や車庫の場合には対物保険では補償を受けることができません。

それは、保険の規約で以下のものが補償対象から外されているからです。

・契約者本人のもの
・運転者の父母・配偶者・子どものもの
・補償対象者の父母・配偶者・子どものもの

家の門柱や車庫の場合は、その多くが「契約者本人のもの」か「運転者の配偶者のもの」であると思います。その場合は補償対象害になっているため、自費での修理をしなければなりません。

ここで注意したいのが「配偶者の父母」が補償対象内であるということです。妻の実家に帰省した際に、車庫にぶつけたという場合には夫が運転者(=契約者本人)だった場合、壊した車庫は「配偶者の父母のもの」にあたるため、対物保険から補償を受けることができるようになります。

虚偽の報告は保険金詐欺になる可能性が!

先ほどの事故例のように、妻の実家で夫が車庫を傷つけると保険金がもらえます。ですが、妻の実家で妻の運転する車が車庫を傷つけるとどうなるでしょうか。壊れた車庫は「運転者(妻)の父母のもの」となるため、補償が受けられなくなります。

このような時、「夫が運転していたことにすれば、補償が受けられる」と考える方もいるかもしれません。ですが、自動車保険でも虚偽の申告をして保険金を受け取ると「保険金詐欺」になってしまいます。

自動車保険金詐欺の場合、一般的な詐欺と同じように保険会社を欺いたことが分かった時点で、当事者は逮捕され検察庁に送検されることになります。10日間(最大20日間)の拘留も行われ、その後起訴・不起訴の決定が行われ、裁判へと進みます。裁判では服役・執行猶予の判決が出ますが「前科」がつきますので、少額でも保険金を虚偽の報告をして受け取ろうとは考えない方がいいでしょう。

また、事故を起こした傷を直すついでに今回の事故とは関係ない傷も直してもらって、同じ事故のせいにして報告するようなことも詐欺罪として罪に問われてしまいます。このような場合には自分だけでなく、修理に携わった業者も巻き込んでしまいますので、保険会社への申告は正直に行うようにしましょう。