任意保険の「対物保険」の役割とは?
任意保険の中でも総合自動車保険(SAP・PAPなど)に入っている場合には、対人保険と対物保険がセットで組み込まれています。対物保険はどのような場合に役立ってくれるのでしょうか。
対物保険では、車同士が事故を起こした場合に相手側の車の修理代などに支払われます。相手側の車がもう乗れないくらい壊れてしまった(全損)場合には、事故時点の時価を考慮して補償額が決められます。
また、電柱や標識・ガードレールなど公共のものを壊してしまったような場合にも補償を受けることができます。もちろん、一般的な住宅の壁などを壊した場合や駐車中の車への接触事故なども対象となります。
意外と補償範囲は広く、民家や店舗などに突っ込んだ際の建物の修理費用・建て替え費用や踏切などで電車に衝突するような事故・店舗の商品なども対象になります。
対物保険は小さな物損事故だけでなく大きなものを壊してしまった際にも補償をしてくれますので、加入しておくのがおすすめです。
「対物補償」の補償額は自分で設定が可能
任意保険の対物保険については、補償してもらえる額を自分で設定することができるようになっています。
設定できる補償額については、加入する保険会社によって変わってくることがありますが、多くは以下の通りです。
・1,000万円
・3,000万円
・5,000万円
・1億円
・無制限
5,000万円も補償してもらえれば、住宅1軒くらいは壊れても大丈夫な気になりますが、実際にこれまでに請求された高額な損害賠償額を見てみると、2億円超えということもあります。
これは、事故に遭った被害者の車が毛皮や呉服といった高額の商品を運搬していたためで、それらの商品が使えなくなってしまったり、相手側の商売に大きな影響を与えてしまったためです。
また、近年高齢者の事故で増えているコンビニへの突っ込みや踏切で電車に衝突するなどの事故を起こした場合にも1億円を超える損害賠償を請求されることがあります。
損害賠償の補償額には、お店が休業中に儲かるはずだった利益分や什器備品の修復作業代などの含まれますので、意外と高額になることがあることを知っておきましょう。
このような場合を考えると、対物補償の補償額は自分で選択することができますが「無制限」で契約しておくのがおすすめです。補償額を設定しても「無制限」にしても、年間の保険料は数千円しか違いがありません。年間数千円をケチって、万が一高額の賠償額が支払えなくなるのはやりきれないですね。
「対物補償」で補償されないものってあるの?
対人補償と対物補償の違いで、大きなポイントの一つとなるのが「自賠責保険での補償が受けられるか・受けられないか」ではないでしょうか。
何か物品に対して損害を与えてしまった場合には自賠責保険では一切の補償を受けることはできません。人の場合は低額ですが補償を受けることができるので、注意が必要です。
対物補償は広範囲に設定されており、相手方の車の修理代・買い替え代、建物の修理代・建て替え代や商品の補償なども含まれています。お店などに損害を与えた場合には、営業していれば得られたはずの収入も加味して計算されることも覚えておきましょう。
対物補償保険では「他人」の物品に損害を与えた場合に補償額が支払われることになっています。任意保険では、契約者本人以外にも「本人と同等」に扱われる人物が出てきますので、知っておきましょう。
・記名被保険者:保険に加入した人のことで、車を使用する人です。
・保険に加入している車を運転していた人(その配偶者・子ども・父母も含む)
・被保険者の配偶者・子ども・父母
これらの人の所有するものが壊れた場合、またこれらの人が使用・管理するものが壊れた場合には補償の対象外となることを覚えておきましょう。