任意保険の「対人保険」の補償額と補償範囲について

自動車保険の選び方

任意保険の「対人補償」の大切な役割

大きな交通事故が起きてニュースになった場合、その後の裁判で相手にどのくらいの損害賠償金を支払うことになったかまで、報道されることがあります。

人身事故で相手を亡くならせるようなことがあった場合や、大きな後遺症が残るような場合には損害賠償金は1億円以上になることも多々あります。

もし1億円の損害賠償金を請求された場合、どうなるでしょうか。車を所有した時点で加入が義務付けられている自賠責保険では、相手の死亡時に3,000万円・後遺症時に4,000万円の保険金が下りることになっていますが、それではとうてい賠償金のすべてを支払うことができない状況になります。

そんな時に助けてくれるのが任意保険の「対人補償保険」です。任意保険に加入しておくことで、自賠責保険だけでは支払うことができない損害賠償金も支払うことができるようになります。

「対人補償」の補償額は無制限にしておこう

では、任意保険の対人補償はいくらあると安心なのでしょうか。

事故を起こした時の損害賠償額については、被害者となった方の年齢や年収・家族構成によって決まります。また、相手が亡くなった場合には葬儀の費用や亡くなるまでの治療費なども含まれ、その方が生存していれば得られたはずの収入や慰謝料も加味されて計算されることになります。

また、被害者となった方に後遺症が残った場合には、治療費・入院費などとともにやはり健康であれば得られたはずの収入・慰謝料が賠償金に加味されて計算されることになります。

さらに一般的には被害者が亡くなった場合よりも、重い後遺症が残った場合の方が高い損害賠償額を請求されることになります。過去の高額損害賠償としては20代男性が重い障害を負った場合に損害賠償の請求額が3億円を超えたこともあるほどです。

被害者が若い男性で、妻子がいるにもかかわらず重い後遺症が残るけがをさせてしまった場合などは、かなり高額の賠償額を請求されると考えておくのが賢明です。

これらのことを踏まえて、近年はどの保険会社の任意保険でも対人補償の補償額については「無制限」となっていることが多いようです。自分が高額の賠償請求を起こされるような事故を起こすはずがない、と誰もが考えますが「万が一」は起こり得ると考え、対人補償の補償額は「無制限」のまま加入するようにしておくことをおすすめします。

「対人補償」は親族相手の事故でも適用される?

自賠責保険に加入していると、万が一家族がけがをした場合には補償してもらうことができますが、任意保険ではどうなのでしょうか。

実は、任意保険の「対人補償」には契約者本人やその家族は補償の対象外となっています。万が一、家族相手に事故が起きても保険金を受け取ることはできません。

それは、家族間で事故が起きた場合に損害賠償の請求をするのは不自然であると考えられるからです。子どもが親の車に轢かれてしまったような場合に、子どもが親に対して損害賠償請求をすることは自然ではありませんね。そのような点を考慮されています。

任意保険の対人保険で補償対象とならない人は以下の通りです。

・記名被保険者:保険に加入した人のことで、車を使用する人です。
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者または配偶者の同居している親族
・記名被保険者または配偶者の別居している未婚の子
・許諾被保険者:記名被保険者の承諾を得て車の管理をしたり車を使用したりする人です。(専属の運転手など)
・記名被保険者の使用人

専属の運転手や使用人など、保険の契約者と血縁関係がなくても補償の対象外になる人がいる点に気をつける必要があります。

自賠責保険の場合は、契約者本人以外と「他人」として扱うため、事故の相手がわが子であっても配偶者であってもけがであれば120万円まで、死亡の場合は3,000万円までの補償を受けることができます。